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月刊 原田教正
4月
「時間のトンネル」

Monthly Kazumasa
APRIL
/ 時間のトンネル



5月の初旬から福岡での巡回展が始まって、もうすぐ終わる。次は6月に東京で巡回展が始まる。ここ数ヶ月、テーブルの上に並べられた2L判の無数のプリントを幾度となく並び替え、隣合う個々の記憶と時間を接合していく日々。それら写真は変哲のない事実に基づく一枚一枚ではあるが、並べることでドキュメンタリー的な性質を徐々に失い、必ず編集され、繋ぎ合わせた異なるなにかに変容していく。だが、それをフィクションと呼ぶには大袈裟であり、そうではないだろう。同じ時間の延長線上に私の目の前に起きた、事実だけれど真実とは言えない、掴みどころのないなにか…。

写真はすっかり、「嘘ではないが、本当だという証明が難しいメディア」になりつつある。それを分かりながら、無数の断片を接合し、どこかに繋がるであろうトンネルを粛々と掘り続けているような感覚。そんなふうにトンネル工事にかまけて、5月の連載がスキップしてしまい合併号になってしまいました。


ー 原田教正



H450mm x W350mm x D40mm
Semi-glossy paper inkjet



原田教正 | Kazumasa Harada
1992年東京生まれ。2016年に武蔵野美術大学映像学科卒業後はコマーシャルフォトグラファーとして活動する傍ら、積極的に展覧会や写真集の制作を続けてきた。2020年には初の写真集『Water Memory』を刊行し、その後『An Anticipation』『Obscure Fruits』などを刊行。2023年にはベルリンでの滞在制作を経て『時間の園丁』(南青山information)での展示や写真集『My origin photographs』を新たに刊行。2025年9月から本格的に制作拠点をベルリンに移す。

https://www.kazumasaharada.com/