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月刊 原田教正
2月
「型と形」

Monthly Kazumasa
FEBRUARY
/ 型と形



2月、持て余しそうなほど平穏な日々が続く。展示の準備や読書、最近は興味本位で使い始めたChatGPTと一緒に英語の勉強や壁打ちのような会話、あるいは、くだらない何かを生成させてみたり。そこで重要になるのは、質問する文章のプロット(構成)や順序、そして自分が入力している言葉への理解の深さ。

そして今、澤直哉の『架空線』という本を読んでいる。そこには、人間が想いや状況(心の形)を伝達し合う時、言葉という「形」、または文字という「型」を頼りにしているのだと書かれている。胸に去来する思いは無形だが、胸中で呟けば言葉という共通の形に変換され、それは共通であるが故に独自の形ではなくなるのだと(意訳)。この写真とよく似た現象への興味深い指摘に、マーカーで線を引く。

写真は四角い窓を覗き、フレーム(フォーマット)という型を用いて時間を景色に、景色を時間に、写真(プリント)という形へと変換する。それはどうしても、音も動きもない1枚になってしまうのだ。形、形、形とまるで呪文のように反芻しながら、3枚に分割して撮影した写真を並べる。これは形への抵抗なのか、従順なのだろうかと自問しながら。この続きはChatGPTに尋ねてみようと思う。


ー 原田教正



H450mm x W350mm x D40mm
Washi inkjet
glossy paper inkjet



原田教正 | Kazumasa Harada
1992年東京生まれ。2016年に武蔵野美術大学映像学科卒業後はコマーシャルフォトグラファーとして活動する傍ら、積極的に展覧会や写真集の制作を続けてきた。2020年には初の写真集『Water Memory』を刊行し、その後『An Anticipation』『Obscure Fruits』などを刊行。2023年にはベルリンでの滞在制作を経て『時間の園丁』(南青山information)での展示や写真集『My origin photographs』を新たに刊行。2025年9月から本格的に制作拠点をベルリンに移す。

https://www.kazumasaharada.com/