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(珍)ピッピ線・蓋物

この10年間、少ないながらも何度か登場したピッピソン。ピッピ=電話、ソン=線の意味です。
植物の蔓など自然素材の代用品として電話線で編まれた籠です。朝鮮戦争時代に登場し1960年代頃まで使われていました。最初に見たかたちは黒い線で編まれた市場籠でしたが、蓋物や魚籠などもあります。
調べてみると当時は物資不足からこのような創造性豊かな代用、リメイク品が多数誕生したようで、例えば砲弾を利用した灰皿、手榴弾のオイルランプ...などという癖の強い代物もあったようですが、流石にちょっと怖いですね。それこそ珍の中の珍品ですが...。

特に市場籠やストッカー(穀物や野菜を収穫、貯蔵したりするのに使用)はそれまでは藁、藤、竹などで編まれており、生活必需品ですから様ざまなかたちが生まれました。きっとこれも製作者は女性だろうなあ...と思わせられるような配色、愛らしいかたちのものが多く、電話線だから長持ちすると重宝されたそうです。喪失のさなかでも人は新しいものを生み出します。エネルギーの転換。私はそこにこそ芸術を感じます。



約φ90mm x H50mm
ピッピ線(電線)
韓国
Vintage(1950年代)